ウォシュレットとの闘い

 死ぬまでやりたい事リストの1つである【シロノワールを食べる】を叶えるため、先日コメダ珈琲に行ってきた。平日休みを利用して入店した店内は思ったより人が多く、席に空きがなかったため暫し待つこととなった。その間にシロノワールのソフトクリームを生クリームに変更できると知り悩むが、先ずは通常のシロノワールを食べようと決心する。

 満を持して登場したシロノワールは不味くはないがもう一度頼もうとは思わないレベルであった。IBS持ちの僕は退店前にトイレを借りることとした。

 個室に入ると僕を待ち構えているものがいた。ウォシュレットのノズルである。

 ウォシュレットのノズルの行動は基本的には一撃離脱であり、指令を受け出動し、役目を終えたら定位置に帰還するはずである。しかしながら僕の目の前の彼は戻ることはなく臨戦態勢を解いていない。幸い水は発射していないので緊急事態ではない。

 さてどうしたものか。このまま用を足せばノズルは僕の八丁味噌まみれになってしまう。自宅のトイレなら未だしも(自宅でもダメであるが)お店のトイレを味噌まみれにするわけにはいかない。

 取り敢えず、停止ボタンを押す。水は既に停止した状態であるが、これで正気に戻り、あるべき場所に帰ってくれることを願った…がボタンは虚しく音を立てるだけであった。

 こうなったら最後の手段ダイレクトアタックである。トイレットペーパーを適量取りノズルを掴む。壊さないように慎重に押し込む。作戦成功だ。

 小さな達成感を味わいつつ、用をたす。IBSのため慢性的に下痢をする僕は切れ痔持ちであるがウォシュレットは使わない。僕はウォシュレットにトラウマを持つ日本でも数少ない人間なのだ…

 

 あれは僕が4歳の頃だった。

 両親が新築の家を建て、そこに引越して1ヶ月程で起こった悲劇である。用をたすために座った僕のプリケツを冷水が襲ったのだ。宣戦布告なしの奇襲である。

 驚きのあまり泣き叫ぶ僕。何事かと駆け寄ってくる母親が見たものは下半身まる出しの僕とずぶ濡れの新築のトイレという地獄絵図。

 あの出来事から今日に至るまで僕はウォシュレットに恐怖し、如何に痔に優しいと聞いても使うことはない。