ウマ娘 ヴァルゴ杯はヒソカが潜む魔境であった。

 初のイベント『ヴァルゴ杯』を前に下調べを行った。制限なしのランクと総合評価Bランクまでのマッチがあるようだ。

 制限なしの方は課金兵達の魔境になることが予想されたため、Bランクまでの方を選択する事を先輩プレイヤーである弟に報告する。

 

弟「Bランクの方も油断できない。上位のプレイヤーが極限まで絞り込んだBランクを作って雑魚狩りをするから」

ウルチ「そんなのありか!?」

弟「巷では、そういう奴らをヒソカと呼ぶ」

 

 ヒソカ。言わずと知れたハンターハンターの主要キャラクター。ネットでは自分より弱いやつには物凄く強いのに強いやつには負けるか、そもそも戦いの場にいないことから雑魚狩り扱いされていることもしばしば。

 試しに現在いる面子で挑戦してみた。Bランクでマイルを走れる子が僕にURAファイナルを初制覇させてくれたダイワスカーレットのみで、ミホノブルボンはマイルBだし、マチカネフクキタル?に至ってはマイルCだ。ダイワスカーレットに全てを託すしかない。

 結果は惨敗だった。良くて2位。このゲームにとって1位以外は負けなので意味がない。

 弟に結果を報告する。

弟「まあ、そうなるな」

ウルチ「これ勝つの無理ゲー?」

弟「ハンターハンターを思い出すんや。ヒソカに勝つためにゴンは何をした?」

ウルチ「念を覚えた?」

弟「そう、バンジーガムには勝てないかもしれないけど、戦いにはなる」

 

 弟の考えはこうだ。総合評価はステータスとスキルで決まる。総合評価を計算できるサイトがあるからギリギリB+にならない程度に育成すれば多少の勝ちが見込める。

 

 弟と協力しての育成が始まった。育成対象はオグリキャップ。僕が持っている中でマイルが走れてスキルも発動しやすいウマ娘だ。

 僕の普段の育成ではB+かAになるので、やや加減しつつ、弟のアドバイスの下育成に励む。兄弟で協力して作業するのは久し振りだ。

 そして完成したオグリキャップはこちら

 スピード969スタミナ595パワー625根性376賢さ366

 スキル:勝利の鼓動Lv4、ヴィクトリーショット、弧線のプロフェッサー、円弧のマエストロ、集中力、末脚

 

 なかなかの仕上がりではないか。

 いざ、実戦。

 なんとか5戦中1勝をもぎ取ることができた。日に15戦行うが何故かダイワスカーレットが1着を取ることもあった。あの子は本当に僕を助けてくれる。

 しかし、昇格の条件となる2勝はできない。原因は分かっているヒソカ、そして...

弟「デバフネイチャか......」

ウルチ「デバフネイチャ?」

 弟に言われるままデバフネイチャと呼称されたウマ娘のステータスを開く。スピード、スタミナも大したことはない。

弟「スキル開いてみ」

 真っ赤である。このゲームのスキルは色分けされており、速度に関するものは青、そして赤の意味することは他者を妨害する(デバフ)スキルだ。このウマ娘、デバフしか覚えていない。自分では勝利を狙わず他者を妨害することに命をかけている。現実にいたら間違いなく嫌われるタイプ。トンパのような娘である。

 結局、ヒソカ達にボコボコにされ下のランクで戦うことになったウルチであった。

 

 そして途端に勝ち始めるウルチのオグリキャップ。そう、ヒソカ達の多くは上のランクに行ってしまったのだ。そうなると、ギリギリまでステータスを上げたオグリキャップハンターハンターでいうツェズゲラさんレベルに強いのだ。ヒソカは勿論、ゴンやキルアにも勝てないが、適当なキャラなら必殺の垂直跳びで粉砕する!

 5戦中3勝するようになり、下のランクの決勝にコマを進めたのであった。

 

 本日、決勝の時。ウルチのオグリキャップは4番人気。1番人気のサイレンススズカはスピード1068のS、こやつも念能力者だ。

 最終コーナーを周り、オグリキャップは4位。前を敵のオグリキャップに塞がれており、大ピンチである。勿論、1位はサイレンススズカ

 残り200。垂直跳び(勝利の鼓動)発動。ラストスパートをかけるオグリキャップサイレンススズカに迫る。後ろからウォッカが突っ込んでくる。スズカを躱しトップに、そのまま逃げ切り1着でゴールイン。1~3着がクビ差という大接戦を制した。

 なんと下の下のランクではあるもののウルチは優勝を果たした。ちなみに弟は上のランク(無制限の方)で優勝していた。