ユニボールワンF レビュー ジェットストリームとの比較

 ジェットストリーム以外の選択肢となりえる開発者の拘りを感じる一品。

 僕は仕事場でジェットストリームを愛用している。革命的なこの製品の登場で雑多なボールペンは駆逐された。もはや100均の10本入りのものはゴミと同様だ。

 文房具好きの僕としては各社のボールペンはそれぞれ良い物を出しており、もっと世間一般に知れ渡って欲しいのだが、それはまたの機会にする。

 僕の生活圏に文房具専門店がある。定期的に通い新製品やまだ知らぬ製品を探している際にユニボールワンの新型、ユニボールワンFに出会った。三菱鉛筆(uni)はジェットストリームに胡坐をかかず、新製品の開発に力を注いでいるようだ。クルトガジェットストリームと名品を生み出してきた三菱鉛筆だけに期待が持てる。

 このユニボールワンFを手に取った瞬間、開発者の熱意を感じた。繋ぎ目のない本体と金属製のパーツを採用することで低重心化しブレを軽減し書きやすさを強化、発色の良い黒インクと破損リスクの少ないクリップは当然の如く維持。それでいて300円代の価格設定。素晴らしいとしかいいようがない。

 

 ここからは三菱鉛筆の誇るジェットストリームとの比較。

ジェットストリームより優れている点

  1. 破損リスクの少ないクリップ
  2. 高級感のあるデザイン
  3. 黒がより黒い(濃い)

ジェットストリームより劣っている点

  1. 多色ペンがない
  2. インクの消費量(ゲルインク共通の弱点)

 

 まず優れている点から解説します。

 1の破損リスクの少ないクリップ。これはユニボールワンからの引継ぎでありFの方だけの特長ではないですし、そもそもジェットストリームの弱点と言える点です。ジェットストリームは多くのモデルでクリップ部が樹脂製となっており、厚手のものを挟むと折れてしまいます。高価なメタルエディションでさえ本体はアルミの削り出しなのに耐久性が求められるクリップ部は樹脂製です。クリップを使わない人にとってはどうでもいいでしょうが、使う人にとっては大きな問題です。

 2の高級感のあるデザイン。これは個人的美観に影響されるのですが、一体型のペンはエレガントです。この価格帯でスーツに合わせるならほぼ一強レベル。

 3もユニボールワンと共通なのですが、インクの発色が素晴らしい。黒が黒いというか濃いのです。薄い黒って何?と思った方はフリクションボールペンを使ってみてほしい。ジェットストリームの黒も良いがユニボールワンはその上をいく黒さ。ユニボールワンにはカラーインクのモデルが売られているが、その全てで美しい発色を見せつけてくれる。

 

 次に劣っている点。

 1の多色ペンがないのは職場で採用するのには致命的です。筆箱を使う学生ならともかく制服にペンを何本も差しておくスペースなどありません。

 2のインクの消費量。フリクションボールペンもそうなのですが、ゲルインクは消費量が多くさらにインクが高いのでランニングコストが高いのです。僕の行った文房具店では本体は割引で売ってくれるのでユニボールワンの替え芯のみが本体より高いという逆転現象が起こっていた。

 

 次いでユニボールワンとユニボールワンFの比較。ユニボールワンとユニボールワンFはインクが共通。ポイントは書きやすさはFの方が上だが、グリップ力はユニボールワンの方が良い。ゴムグリップの摩擦で滑ることはない。手袋をして外で使うのならば、確実にユニボールワンの方が良い。落しても安いし。また僕自身は未確認だがユニボールワンはジェットストリームの替え芯を入れられるらしいがユニボールワンFでは不可能との情報が入った。外装だけならユニボールワン > ジェットストリームの廉価モデルなので、これは有り難い。

 

 数百円の製品に拘りを持って開発するなんて、なんと素晴らしい時と場所に産まれたものだ。