ペヤング 獄激辛にんにく レビュー

 安かったから買った。後悔している。

 ドン・キホーテで55円だったので購入。知っている人は知っている有名な獄激辛シリーズであるが、残念ながらウルチは知らない人であった。獄激辛シリーズなんてあるのも、この記事を書くために検索して初めて知ったのだ。初めから調べて購入していれば......今後に活かそうと思う。無知とは時に悲劇を生むのだ。

 この魔物に初見で挑んだ僕であったが、かやくを開けて湯を注いだ時点でヤバさに気付いた。この辺は美食家としての感性だろう。

※このブログにおける美食家とは美味しい物を食べる人ではなく、新たなる美食を探究する人のことである。その道のりは険しく危険を伴うが、未知なる美食を求める姿から食の冒険家とも呼ばれる。

 

 あれは中学校の家庭科の授業であった。ハンバーグをグループで作ることになり、玉ねぎのみじん切りを担当することになったウルチ。玉ねぎのみじん切りは硫化アリルによる目の刺激があるため、自ら志願し犠牲になることを選んだ男の中の男である。

 涙を流しながら他のグループを見てみると皆、目への刺激を訴えているが誰一人として涙を流してはいない。明らかに僕だけダメージが大きい。女子達は笑いながら「ウルチ君、大丈夫?」と声を掛けてくるが見て分からないのか、大丈夫ではない。

 結局、その後も涙を流し続け、給食を食べ終わる頃ようやく治まったのであった。

 

 そんな中学時代の記憶が呼び起こされる程の硫化アリル。原因はにんにくであろう。直ぐに換気扇をオンにする。そう易々とやられる訳にはいかない。これぞ、まさに学習美。

 湯切りと定番の流し台のボコン音はもはや様式美とも言えるが、母に禁じられているため慎重に排水口に流す。上手くいった。

 ここからが本番である。獄激辛ソースを麺に絡める。見た目は美味しそうだ。香りもにんにく臭が強く、獄激辛を謳うわりにはソースの香りは控えめである。これが失敗だった。一瞬の気の弛みが重大事故を引き起こす例はいくらでもあると言うのに。

 

 普通のペヤングと同様に麵を啜る。

 

 むせた。酷くむせた。

 熱い物に手が触れた時と同様に反射が発生したのだ。僕の体は防御反応として脳の指令を待たずにこの劇物を排出しようとした。一瞬遅れて麺の拡散を防ぐため口を閉じる。アーマードコアでリンクスとして鍛えた反射神経がなければ、食卓は僕の拡散波動砲の餌食となっていただろう。自分を褒めてあげたい。

 しかし、冷静さを欠いてしまった。口の中の刺激を洗うために水を飲んでしまったのだ。ウカツ!カプサイシンの刺激は水で中和することはできない。ただ広げるのみだ。

 たった一口で口腔内を蹂躙され、驚愕を隠せないウルチ。これは人間の食べ物ではない。食べてはいけないものだ。これ程の刺激物は消化管粘膜に損傷を与える危険性があるし、最終ゲートへのダメージは計り知れない。しかもウルチは痔という名の業を背負っている。死活問題なのだ。

 食事とは生きるために他者の命を頂くこと。これは生きるとは反対方向に位置する品物であり、食糧とは呼べない。せめてもの責任としてキャベツは完食したが、それ以外は破棄することにした。慙愧に堪えない。

 

 この製品を食べるとしたら、獄激辛ソースは使わずにソースをかけて炒めればにんにくがアクセントになった焼きそばとして美味しく頂けるだろう。