ココアシガレットアイスとの出会い

 未だにココアシガレットを買う男、ウルチ。駄菓子コーナーに場違いな男を見かけたら、それはウルチなのかもしれない。

  ココアシガレットは皆もよくご存知の名菓であろう。巷ではオッサンと呼ばれる年になっても僕はココアシガレットを買っている。口寂しい時や気分転換をしたい時にあの程よい甘さと清涼感、バリボリと嚙み砕いてストレス解消にもなるココアシガレットは駄菓子と言えども子供向けではなく、むしろストレスに晒され続ける現代社会の大人に相応しいお菓子なのだ。

 さらに僕は食べ終わった箱をUSBメモリ入れとして再利用している。失くしやすいUSBメモリもココアシガレットの箱に入れることで視認性を格段に向上させることができる。これ程までにココアシガレットを愛してやまない男は僕くらいではないだろうか。

 そんな僕がココアシガレットアイスなるものを買わない訳がないだろう。

 

いざ、実食。

 一口目で感じる猛烈な違和感。

 

 バナナだ。

 ココアシガレットではないバナナだ。大事なことなので2回言った。

 

 そんなバナナなど冗談を言うつもりはない。僕の味覚中枢はココアシガレットを迎えるはずだったのにバナナが来て混乱し、咄嗟に吐くところであった。

 ココアシガレットの箱を模したパッケージをよく見るとココアシガレットアイスの外側をバナナアイスで覆っていると記されている。

 奥まで食べるとかなりの完成度のココアシガレットアイスが出てくる。構造上どうしてもバナナアイスと同時に食べることになり、単体での評価は難しいがココアシガレットの味を良く再現している。

 それにしても何故バナナなのか。バニラでもいいと思う。開発スタッフに相当なバナナ好きもしくはピポサルが紛れ混んでいるに違いない。

 誤解してはいけない。決して不味くはないのだ、このアイス。もっとも不味いアイスに出会ったことはないけれど。出会いたくもないし。

 ただし、また買うかと聞かれたら答えはNOだ。